「有能なスキルを持っていない…」
と思い悩む就活生は、ダサい純ドメ日系企業に就職して海外駐在しよう。
1回駐在に出れば、「海外勤務のキャリアと1,000万円以上の貯金」ができることは、ほぼ間違いないだろう。
かくいう私は、元々海外駐在員になる気など丸っきりなく、純ドメ日系メーカーに就職したが、結果的には現在ベトナムで海外駐在員を5年も続けている。
私自身のキャリアを振り返ると、海外駐在員を目指したわけではなく”「結果的に」駐在員になってしまった”というのが正直なところだ。
多くの人がイメージする”海外駐在までの華やかなキャリア”とは逆を行く、逆説的駐在キャリアの始め方を、私の歩んできたキャリアを参考にして前途洋々な若人の皆さんにお伝えしたい。
ある意味、凡人リーマンの最上級のキャリアが「海外駐在」と言っていいと思う。
駐在員になることによる、税制上のメリット・キャリア形成など数々のメリットは別記事にまとめたのでこちらも後ほどご覧いただきたい。
万人が思い描くキャリアから逆走する。泥臭くてパッとしないキャリアから海外駐在の道を拓く。
これは、万人が思い描くような、
パリッとダークブルースーツを着こなして、朝からスタバのグランデ片手に優雅に仕事に取り掛かる、
ような華やかで洗練された駐在員までのキャリアの指南ではないことをご了承願いたい。
これは、純ドメ日系メーカーから駐在員になってしまった私の、結果から逆算した「海外駐在のキャリアの始め方」だ。
会社で働く以上、自分から積極的にキャリアを作っていくことは難しい。
だからこそ、受動的にキャリアを進みながら「海外駐在員になった私」の実体験を基に、海外駐在キャリアの始め方をご紹介します。
キラキラ先輩社員がいてオシャレなフリーアドレス制なんかをやっている第一志望の就活に失敗して「もう、私、超絶ダサい純ドメ日系メーカーに行くしかないか。。。」と思っている人にこそ、人の行く道とは逆行するキャリアを築いて「海外駐在」することをオススメしたい。
STEP1. 初任地は工場を志望しよう。目的は工場で「英語できる人」を目指すため
初任地は西日本。グループの中では中規模の工場に配属された私。
元々私は、「ほのぼのとのんびりした社会人生活」を第一希望とし就活を行っていた為、ある意味当時の私にとって思い通りの人事となったわけだ。
(もちろん、就活中は決してそんな事は口には出さなかったのは言うまでもない)
実際に、初任地での仕事はあまり無く、ほぼ毎日定時で帰るぬくぬくホワイトサラリーマンをやっていた。
ここで、「海外駐在」の第1ポイントは、
総合職を対象に工場で行われている英語スクールで目立つて、工場幹部や上司に「あっ!こいつ英語できそうだな」と思ってもらうことだ。
私の場合、入社直後のTOEICの得点は600点前半。
「うわ、めちゃめちゃ平凡なスコアじゃん」と思うじゃない?
それでも工場では高得点者。英会話教室はA・B・Cある中で、最上位のAグループへの配属となったわけ。
工場では、次の理由からあっさりと上級クラスへ入りやすい。
- 工場の総合職は英語に興味のない技術系が大半
- 工場にいると上昇志向が薄れて、スキル研鑽もしなくなる
これが、渋谷や恵比寿なんかの華やかバリバリ今どき系の企業に就職するとそうはいかない。
英語ペラペラでヘタすると第二外国語までイケちゃうような高スペック同期が集まっていて、大多数の中の一人になってしまう。
ここで大事なのは、自分のスキルを伸ばす以上に、工場幹部や上司に「こいつ英語スキル持ってるやん」というイメージを持ってもらうこと。
裏事情を話すと、工場幹部は、本社に対しては「英語教育をしてるよ」アピールしなければならないので、Aグループのメンバーを結構覚えてくれる。
これが後々、社内の職歴書や幹部・上司の評定に、「こいつは海外人材のポテンシャルをもっている」と印象づけることができるのだ。
-逆説的駐在位のすゝめ-
ここが、私が結果的に海外駐在したキッカケの1つにもなっていることは間違いない。
だって駐在直前に挨拶した海外ビジネス担当役員が、昇進した当時の工場幹部だったのだ。挨拶に行ったら「お!来たか来たか」と言われたもの。
海外ビジネス部へ異動、社内公募での応募、駐在員選考会への志願書で、当時工場の幹部だったり上司だった人に、自分の名前を見つけてもらい、あっさりと海外キャリアがスタートする。
なんてことが起こるのがダサい純ドメ企業の良いところであったりもするのだ。
STEP2. 2年目以降は語学留学や海外研修の社内公募を日々チェック。東南アジア案件がオススメ。
このパートは、私の実体験ではなく、一緒にベトナムで働く技術者の先輩の事例を取り上げる。
この先輩、社内で時々ある海外研修の社内公募でベトナム駐在を勝ち取ったパターンの人。
まずは半年ベースの海外研修でベトナムへ。そこで現地スタッフとのコミュニケーションや情熱を認められて、帰国後の次の人事異動でベトナムへ正式赴任が決まったのだ。
海外研修への応募するのは、弊社のような純ドメ企業では、日本の所属部署に対する反乱・反逆とも見なされかねない、危険な行為でもある。
正式赴任した後に、先輩にコッソリ聞いてみたところ、
- 日本にいても、仕事は下っ端の雑用が多い。
- 所属部署からのペケ(バツ)が付いても、大して気にしない
- エンジニア×駐在経験でキャリアアップ転職も行ける
と、大胆に現職場を見切りをつけて駐在を決めた先輩には脱帽の気持ちだった。
ここで最も大事なのは、
「私はヨーロッパにしか興味ない、アメリカに駐在するのが夢だったんだ」
と理想の駐在地(アメリカ・ヨーロッパ)に応募するのはゼッタイに禁止。ということ。
欧米の案件は、イメージも良く生活環境が整っているから立候補者も多く倍率が高い。
所属部署から離脱したと捉えかねないリスクを思い切って冒したのに、公募に漏れるなんて泣きっ面にハチ。
東南アジア(特にベトナムはオススメ)などのダサいイメージの候補地に応募して、一発で公募を勝ち取るのが望ましい。
-逆説的駐在位のすゝめ-
STEP3. あえて亜流の道を進もう。勢いのある子会社への出向が海外駐在への近道
一般的には、降格や窓際のイメージがつきまとう「子会社への出向」。
これも私から希望したわけではないが、結果的に海外駐在へのキッカケになった。
しかも意外とこれが大きく「海外駐在」を後押しするのに一役買っていたのだ。
私の場合、希望したわけではなく、社会人2年目から子会社へ出向になった。理由はいわゆる玉突き人事に巻き込まれたわけだ。
出向先はグループの中では、勢いがある電機部品系メーカーだった。
しかし、グループの主力事業とは畑違いで、上司からは「まぁ、気を落とさずに頑張れや」、同期からは「また本体へ戻ってこれるよ」
と、都落ちもさながら、「あなたのキャリアは半ば終わった」レベルで同情をもらい、子会社の門を叩いたわけである。
私自身、出世欲もないのでそんな事は気にならなかったが、ここで最もツラかったのが「残業」。
子会社なので人も少ない一方、業績は良かったので、多い時は月に100時間、平日は終電を逃してマンガ喫茶に泊まらざるを得ないこともあった。
これが現在の投資・セミリタイア志向に繋がっていることは明白だ。
この子会社で働くこと2年、社会人4年目にして「海外駐在」の流れに大きく巻き込まれることになっていく。
それが、「子会社がベトナムに部品工場設立を決定」したことだ。
子会社から立ち上げメンバーが派遣されるのに加えて、グループ本体としても、本体採用のメンバーをベトナムに派遣したいという意向から、最終的に、私に内々示があった。
そうして社会人4年目の秋に、結果的に、なりたいと思ってもいなかった「海外駐在員」になった。
ここでのポイントは、子会社に勤務する本体所属社員の数である。
当時の子会社の社員数は約800人、そこで勤務する本体所属社員は私も含めてたったの5人。
つまり、海外駐在員を選ぶ立場にある部門長は、子会社のビジネスに造詣があるこの5人の中から選ぶことになったわけだ。
そこで、まだ独身で勝手のききそうな私に白羽の矢が飛んできた。
-逆説的駐在位のすゝめ-
STEP4. 3年は国内工場勤務を覚悟すべし。ただしこの3年で転職の準備もしておこう。
純ドメ日系企業では、入社してすぐは「海外駐在」を表に出すの控えた方いいだろう。当面は、大人しくデキる子を装うのがいいだろう。
海外研修への公募やキャリア面談での海外志望など、表立った行動をスタートするのは2年目以降が望ましいと考えている。
オフィス系採用であれば3年、エンジニア採用であれば5年間くらいは工場勤務を覚悟すべきだ。
で、自分の逃げ道でもある「転職」の準備をしておくのも大事。
私も、通常の仕事と並行して公務員試験の勉強をしていた。
ビビりで安定志向な私は、ちょっと長めにみて5年工場勤務が続いていたら公務員か実家に戻って地方で再就職しようと思っていたのだ。
-逆説的駐在位のすゝめ-
最後に、話をまとめてみよう。~人の逆を行く、志望会社の選び方とキャリアの作り方~
会社の選び方
- 純ドメの斜陽メーカーだけど、海外展開には積極的。
- 企業規模は数千人~くらいのグループ企業。
- 安定志向の社員が多く、海外志望を異端とみられる。
→ 海外アレルギーがある純ドメの斜陽メーカーを選ぼう。
初任地の希望について
地方の工場勤務を志望しよう。工場こそが凡人レベルの英語を際立たせる。
「英語ができるヤツ」と幹部や上司に刷り込むのが大事。将来、海外部門へ引き上げてもらえる可能性が上がる。
入社2-3年目までに社内公募で海外への道をこじ開ける
- 社内公募があれば積極的に応募する。
- 特に希望者の少ない東南アジアがオススメ。欧米は競争率高いので外すべき。
- たとえ1ヶ月の研修や社内留学でも、社内の海外人材リストへ入れられる。
→ 研修・社内留学のワンステップ入れることで海外駐在へ大きく近づこう。
異動の考え方
- あえて子会社へ出向する逆説的思考を持とう。
- 王道の駐在キャリアは凡人には競争率が高くて選ばれにくい。
- 勢いのある子会社からの海外駐在を目指す。
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